最初から最後まで悪夢『IT』

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全米で大人気となったITです。

ピエロが追いかけてくる映画 ITを観てきました。

ホラーの大家スティーブン・キングによるダークファンタジーが原作となっており、映画では回想部分のみが映像化されています。

「かったるい」と批判される現代パートを削ったのは英断といっていいでしょう。

原作の魅力である「子供の視点から見た恐怖」「子供時代の甘く切ない輝き」を引き出すことに特化した構成となっています。

ホラーパートの間に挿入される青春映画っぽいキラキラしたシーンがなんとも良いんですよね。おねーさんと泳いだり、悪ガキを懲らしめたり、秘密の下水溝を探検したり……。

そのせいか「怖さマシマシのグーニーズ」みたいに思うこと請け合い。

とはいってもホラー映画なので、最初から最後まで悪夢の中にいるような感覚に襲われます。

なんといっても子供の悪夢そのものを表現しつくしたビジュアルが良い。

暗がりから、隙間から、足元から、昼間にも、ともすれば落書きにも見えるようなクリーチャーが出現してくる様はなんとも不気味。

ニコニコ動画で有名なピエロの化け物ペニーワイズも、全力でビビらせに来ます。

黒かったり髪が長かったりするお化け界において、カラフルなこいつの存在感は異質なんですよね。夜じゃなく昼間が似合うビジュアルというのも相当怖い。昼なら大丈夫だ、と思っている矢先にドーンと出現するのがなんとも不気味。

こういうホラー映画は恐怖との落差を煽るためにドラマパートがかったるいことが多いのですが、これは最初からフルスロットルで、断続的に驚かせどころが来るので飽きずに見られます。

真綿で締め付けられるような嫌~な感じではないのですが、一見平和に見える街デリーに隠された闇の歴史やピエロとは別に見せつけられる人々の悪意にはゾクゾクしてきます。

中だるみがなく頭からお尻までとことん怖い、でも切ない気持ちになれるアトラクション感覚のホラー映画。暗い映画館で観るとより一層没入できるかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてここからは、ネタバレを含んだ内容を書きます。

ペニーワイズの正体について

ペニーワイズの正体は蜘蛛の怪物です。(原作だとさらにコズミックホラーなオチがある)オリジナル版では馬鹿正直にクソデカい蜘蛛になっていましたが、今回はそういうことはありません。正体もはっきりと明言されることもありません。これは英断ですね。

ただ、正体が蜘蛛であることを示唆するようなシーンはいくつかあります。例えば、ペニーワイズの本拠地である屋敷。良くみてみると、屋敷の中が蜘蛛の糸でぐるぐると覆われていることが分かります。

また、追い詰められていくと同時にどんどん蜘蛛っぽい動きをしていることに気付きます。

ダークタワーとの関連性

原作はキングのファンタジー作品『ダークタワー』と密接な関連性があります。

キングの世界観の中核をなすのがダークタワーなのですが、めちゃくちゃ複雑なのでその概要はwikiとかを見てください。

ダーク・タワー - Wikipedia

『IT』はダークタワー構想が途中の時点で書かれた作品のため、『タリスマン』『アトランティスの王』などの後続作品のようにほぼ外伝といっていいほどの繋がりはありませんが、本作ではいくつかの関連性を見出すことができます。

亀のブロックが壊されるシーンは明らかにダークタワーを意識していますし、ラストに出てくる地下の塔はダークタワーを彷彿とさせます。