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残虐血みどろ怪獣映画「キングコング:髑髏島の巨神」

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モンスターバース第2弾となる怪獣映画です。

 

かつて怪獣映画は年1ペースで作られ、ゴジラガメラはいろいろな怪獣と戦った。

中でも昭和ゴジラやVSシリーズ、平成ガメラは世界観が統一されているプログラムピクチャーだった。

ガメラがレギオンを倒すために地球のマナを使ったためギャオスが大量発生する」「メカキングギドラメカゴジラ→モゲラというゴジラ用ロボの開発史」などシリーズを通して語られる舞台背景は、今でいうところのMCUやDCEUに近い。

そういった手法は、VSシリーズの後を任せられたモスラシリーズの終幕で一旦影をひそめ、これ以降のゴジラシリーズのストーリーは細分化、ガメラは1作だけ作られるも子供向けに回帰した作風がマニアから批判されシリーズは沈黙してしまった。

しかし、複数の作品で一つの大きなストーリーを形成するというこの制作手法は「アベンジャーズ」や「スーサイド・スクワッド」などのMCU・DCEUのアメコミ映画に引き継がれて、ユニバースと呼ばれるようになった。

VSシリーズや平成ガメラや昭和ゴジラなどの「怪獣ユニバースもの」を原体験として持つ者にとって、この映画は至上の贈り物だろう。

本作はワーナー・レジェンダリーの「モンスターバース」に属する作品。「モンスターバース」というのはキングコングやギャレゴジなどの怪獣映画の世界観をまとめたもので、本作からこのユニバース構想が本格化していくことになる。

そのため、MVにおけるS.H.I.E.L.D.的役割を果たす怪獣調査機関モナークをはじめとして、ギャレゴジとの関連性を匂わせるものが映りこむ。

とはいっても、ギャレゴジを予習として観る必要はなし。舞台はベトナム戦争終戦直後であり、ギャレゴジの前日譚に当たります。

 

キングコングといえば、大きなゴリラが美女を片手に街とかを粉砕しながら暴れまわる映画をイメージするが、この映画の主眼は怪獣バトルであり、これまでの映画の作風とは違う。

巨大怪獣が次々に現れ、人間を食べて、殴り合う。

そういう映画です。

本作のキングコングは成長期にあたるため若干幼く見えるが、ヘリコプターを引っ掴んで粉砕し人を無慈悲に踏みつぶす圧倒的巨大感や怒っているようにも悲しんでいるようにもみえる眼など主役らしい存在感を発揮。

ぶん殴る・内臓を引きずりだすなどの真・仮面ライダーみたいなステゴロはもちろんのこと、そこらへんに生えている木を殴り棒にしたり錨を鎖鎌がわりにしたりと武器も使いこなして暴れまわるその姿を見ると、日常の些細な悩みなどどうでもよくなってきます。

人間にはあまり興味がなかったギャレゴジに対し、コングは明確に人間側のヒーローとして描かれており、島民を危機から守護する怪獣として描写されている。

爆弾を落としまくった米軍を容赦なく踏みつぶしたり巨大タコを捕まえて食べたりする一方で、人間が怪獣に食べられそうになっているところにすっ飛んで来てぶん殴る。「巨神」に相応しい暴れぶりである。

メインの敵怪獣・スカルクローラーは、完全オリジナルの怪獣。一応過去作に一瞬登場したトカゲがモデルになっているようだが、原型はあまりない。

キングコングよりパシリムに出てきそうな不気味な外見で、二本の腕だけでドスドスキモく走って人間をバクバク食べるという、ムートーとはくらべものにならないほど人への殺意MAXの怪獣。

しかもいっぱいいて、群れで襲ってくるというおまけつき。

明らかにスペースゴジラやギャオスのような一度見たら忘れられない、超目立つポジションにいるやつで、ソフビとか早く出してほしい。

この他にも、

オープンワールドゲームでよく出てくる手だししなければ襲ってこないが絡まれるとめんどくさそうなデカい牛

竹に擬態した長い足で人をバスバス刺すデカい蜘蛛(ここはなんと、食人族の串刺し女のオマージュになっている)

群れで襲って人間を空中でバラバラにする鋸鳥

朽ち果てた木に擬態したデカいバッタ

燃え盛る爆炎をバックにキングコングに立ちはだかるサミュエル・L・ジャクソン

などいろいろな怪獣が登場し、ストーリーを盛り上げます。

 

ほぼすべての怪獣が「人間死ね!!!」というムーブをしまくり、人がバクバク食べられるため、怪獣映画としてはかなりグロい。

子供向け映画のように宣伝されているが実際はPG指定で、捕食内臓引きずり出し人体バラバラなど血みどろ残虐ファイトが繰り広げられる。

突然猛スピードで襲い掛かりカメラごと人を飲み込んだスカルクローラーが、ストロボを体内で光らせながら周囲をうろつく場面は、本当に怖い。

「奥ゆかしい」作りのゴジラに慣れていると衝撃的かもしれない。

しかし、怪獣としての恐ろしさを引き出した容赦ない活躍ぶりはこの作品に「サンダ対ガイラ」に通じるグロテスクな魅力を添えている。

 

スカルクローラーがとにかく人を食べまくり、「残りかす」をペッと吐くのはガイラっぽいし、人間の味方として二本足で荒々しく戦うキングコングはサンダっぽい。

大タコも出るしな!

 

菊池凛子芦田愛菜渡辺謙と続いてきたレジェンダリー特撮恒例の日本人枠は、碇軍平(冒頭に出てくる日本兵)役のMIYAVIが抜擢。国内外で有名なミュージシャンですが、ここで出てくるとは思っていなかった。パシリム2では真剣佑が日本人枠であることも含めると、レジェンダリーの人選はかなり意表を突いている気が。

 

ユニバース構成をぶち上げつつも、あらゆるものを怪獣バトルに全振りするというギャレゴジとは毛色の違ったテイストを提示しているのは、年によって宇宙生物やロボットや地球の怪獣といった統一感のあまりないものたちと戦ってきたプログラムピクチャー時代の怪獣映画のようである。

 それだからこそ、最新技術で・本気で作った、けれど「古き良き怪獣映画がカチコんできた」というよろこびが味わえるのだろう。

とはいっても、いい年こいた大人が懐古しつつ観るだけの作品ではない。物凄い勢いで正義の怪獣と悪の怪獣が殴り合う様は、あらゆる世代に響くものだと思う。

騙されて観て、トラウマになってほしい。

子供の頃に抱いた怪獣映画の恐怖は、後々になっていろいろな意味で味わい深いものになるのだから。

 

 

 

分かっているかもしれないけれど、エンドロール後にも映像があるので絶対に見逃さないように。

これに全部持っていかれます。