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狂気の帝国へと繋がる穴「くすぐり」

映画

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あなたは、

「100万円払うから、あなたがくすぐられるビデオを撮ってインターネットにアップしたい」

と富豪に頼まれたら承諾するだろうか?

 

 

インターネットで話題になっているニュージーランドのドキュメンタリー「くすぐり」。

ニュージーランドの記者がネット上にアップされている「男性がくすぐられている」だけの奇妙な動画を偶然発見し、アメリカでくすぐり我慢大会が開催されていることを知る。

このくすぐり大会はさっそくバズり、面白ニュースのように広がっていく。

記者はくすぐり大会の主催者に取材を申し込むが、それは世界を覆う狂気の帝国への入り口であった……。

 

これはあまり言ってしまうと面白さが半減するタイプの代物なので、詳しい内容は伏せますが、そんじょそこらのグロドキュメンタリーやホラー映画を凌ぐ恐ろしさですね。

これが事実であることを抜きにしても、ゾッとさせられるドキュメンタリーです。

 

パッと見ではゲイポルノ関係かな?(記者がくすぐり動画を観た瞬間即座に同性愛に結びつけているのがポイントである)と思わされますが、そんな簡単なものではなく、調べれば調べるほどドギツい真相が出てきます。

 

くすぐり動画の拡散と大会主催者の嫌がらせによって「変態」というレッテルを貼られた被害者。

影で見え隠れする2人の女性。

90年代に起きた事件。

魔の手は真相を探る記者のところへも伸び、金の力で叩き潰すかのような猛烈な妨害が起きる。

 

「くすぐり動画」というネットの片隅にあった小さな穴を覗いて見えたものは、金と権力を持った異常者が築き上げた、世界中を覆う狂気の帝国であった。

 

こういうドキュメンタリーでは大抵金や権力のために非道な行いをする人間が登場するのだが、「くすぐり」が何より恐ろしいのは、その行いが金や権力に無関係であるというところだろう。何故なら、金も権力も持っているのだから。

金と権力を持った者が、狂気にとりつかれて自身の性癖を満たすための巨大な装置を作り上げる」と書くともはや江戸川乱歩っぽささえ漂うが、事態は現在進行形であることを示して終幕する。

 

身近なものから突然スケールが壮大になっていく感覚は「コワすぎ」などの白石監督のモキュメンタリー作品を観ているようだが、これはれっきとしたドキュメンタリーである。(実際に上映時に妨害行為があったらしい)

 

これ日本で近いのはたれぞうかなと思う。

たれぞうはyoutubeに「食品をおいしいと言ってひたすら食べる動画」をアップして、そのシュールさから人気が出た人物である。純朴な中年のおっさん、という見方が強かったが、youtube上で知り合った小学生にセクハラ的なメッセージを送りまくっていたことが引退後に発覚する。


【謝罪】コメント欄でもよく言われるたれぞうさんの件について

 

 

冗談のような話ではあるが、ネットで大容量のデータをやりとりできるようになった今、人間の深淵は自宅から簡単にのぞけてしまうのかもしれない。

狂気の帝国の入り口は5クリック圏内にある。

 

惜しむらくはこれがネットフリックスでしか観られないということだが、ネットフリックスに入ると傑作特撮映画「カルト」が無料でいつでも何度でも観られるので入ってください。